– 軽井沢の物件 土地探し1 –
ご訪問いただきありがとうございます。
2019年に、長野県、軽井沢町に移住した“ぐじ”と申します。
さて、vol.1の移住の話に続き、軽井沢の土地探しの話となりますが、これも当初はなかなか良い物件に出会うことはできませんでした。
探し始めた時期はまだコロナ禍前で、軽井沢への移住はそれほどメジャーではなかったのですが、予算的に私が買えそうな土地は、“それなり”という感じでした。
土地探しで経験したことをまとめます。
<どのような土地が良いのか?>
これは人により何を大事とするかで変わるところですが、私の場合は次のようなこだわりがありました。
1. 見晴らしや景色が良い場所。できれば浅間山が見えたら最高
平坦地で育ったせいか、子供の頃より見晴らしが良い所に憧れがあります。いつも木に登っていました。実は横浜の家も駅から遠かったのですが、土地は見晴らしで決めました。
そういった見晴らしが良い土地となると、どうしても傾斜地が多くなりますが、傾斜地に建つ家の佇まいというものも好きです。
旅行に行った所でも、日本では尾道、海外ではギリシャのサントリーニ島などの傾斜地に建つ家々がしみじみ「いーなぁ」と感じます。
2. 新幹線通勤となるため、軽井沢駅にできるだけ近い所にしたい
これは大事な要件です。特に冬場、大雪が降っても駅まで確実に行けるところでないと困ります。また駅まで近いということは、生活必需品など、買い物の便も良いということに繋がります。
3. レッドゾーンやイエローゾーンに入っていない
仮に将来、リセールする場面があったとしても、土砂災害上、不利な条件にならない土地が良いと思いました。指定区域は変更されるのが前提ですが、そもそものスタート時に安心感があるかどうかは、気分が大きく違います。
4. クルマをできるだけ多く置ける
クルマは、自分用がおそらく2台、来訪者もクルマで来ると思われるので、できるだけ多くのクルマを自由に置けそうな土地や環境が必要と考えました。
5. 値段が手頃
条件としては、最初に来るべきかもしれませんが、これはどなたでも同じかと思いましたので、最後にしました。建築費も同時に考えなければならないので、私の場合、土地にかけられる金額にはまったく余裕がありませんでした。また軽井沢の土地は現況山林という場所が多く、ほとんどの場合、宅地造成が必須となります。その費用も考慮しなくてはなりません。
<はたして土地は見つかるのか?>
さて、このような土地は簡単に見つかったのでしょうか?
結論から言うと、なかなか良い物件がありませんでした。
しかし、ある日突然見つかりました。出会いというのでしょうか、一目惚れでした。
それまでのいきさつをお話しします。
土地探しを始めた感想を、“それなり”と先に書きましたが、要はそう簡単に理想の土地は見つかるはずがありません。
そこでここからは、計画変更と言うか、あきらめの話になってきます(笑)。
さて土地探しですが、軽井沢に知り合いもいない私にとって、まず大手の不動産屋さんが頼りでした。そのため中古別荘探しでお世話になった有名な駅前の大手不動産屋さんに相談しました。親身になって相談に乗ってもらいましたが、要は予算と条件が折り合わないということでした。
そのため、まず予算と駅までの距離を優先し、いくつかの候補地を見せていただきました。この時、まず始めにあきらめたのは、浅間山が見えるということです(笑)。
不動産屋さんによると、浅間山は億を超えるような大型物件でも、きれいに見える条件の良い土地はなかなかないとのことです。また運良く見える土地があっても、山の上の方など、かなり高い場所にあることが多く、駅からも遠くなり、冬場は凍った道路ばかりになるので、とても通勤ができるものではないとのことでした。
「ジムニーを買う予定なのですが、それでも難しいですか?」と聞くと、「それでも無理です・・」との答えで、軽井沢の冬場の環境を自分はずいぶん甘く見ていたと痛感しました。ただ、今考えると呑気な移住者のために多少オーバーに話されていた気もします。
ということで、不動産屋さんの話では駅の南側の土地が通勤や永住ではおすすめとのことでした。
そこでいくつか見せてもらいましたが、どこも平坦で、浅間山どころか見晴らしもあきらめ、「木々にうずくまるようなイメージの暮らしになるなぁ」と感じました。このあたりはお好みなので、アクセスが楽で森に囲まれた平坦な土地の生活がお好みであれば、まったく問題はないと思います。
ただ私の場合は、どうしても家からの見晴らしと、周りの家との高低差があることによる傾斜地のプライベート感にこだわっていたので、「やはり希望は平坦地ではないな」と思いました。
そこで他の不動産屋さんにも間口を広げ、傾斜地を中心に物件を探し出しました。また同時に一般的な不動産屋さんだけではなく、別荘地を管理するリゾート会社が直に売り出している土地にも目を向けるようにしました。
そのあと、まず不動産屋さんに見せてもらったいくつかの土地ですが、予算内で駅まで通いやすい傾斜地となると、別荘地ではあるものの、やはり山のかなり上の方でした。
見晴らしは良いものの、とにかく土地の傾斜がかなりきつい。どれくらいきついかと言うと、手を着かないと斜面を登れない感じでしょうか。
すでに建っている周りの住宅を見ると、基礎部は頑丈な鉄骨やコンクリートの柱で高く組まれており、家が空中にせり出している感じのものが多くありました。
価格からすると広さはどこも300坪前後と十分ですが、実際に建築をするとなると、とんでもない基礎工事が必要となり、土地は安くても家を含めたトータルの予算が成立しないと思いました。
これが広さの割に安くても、建築費がかさむ傾斜地の難点だということを実感しました。さらにこのような急傾斜地の場合、土地自体が広くても、実際に建築や駐車場、庭などに使える部分が極端に少ないこともわかりました。
また実際に住んだとなると、冬場、駅まで向かう道路が凍ると本当にスリップして谷底に落ちてしまうような危険な感じを受けました。特に遅い帰宅時などは、真っ暗なのでより不安になります。
あまり傾斜がきつくない土地もあったのですが、その場合は当然見晴らしといったものが望めず、かといって庭を作れる平地でもなく、中途半端な感じがしました。言い方は悪いですが、藪の中で暮らす感じと言うか、木を伐採したとしても、何か暗い感じになる気がしました。またそういった緩傾斜地で、できるだけ平らな所に家を建てようとすると、どうしても隣家との距離が近くなりそうなことも気になりました。
軽井沢には建築条例があり、隣地から3m、道路からは5m、建物の後退が義務付けられています。値段が安く売れ残っている土地は縦長の敷地が多い気がしました。
理由としては、この条件を入れると、“うなぎの寝床”のような縦長の家しか建築できなくなることがあるように思います。
いままでお話しした不動産屋さんが紹介してくれたこれらの土地は、価格は手頃でしたが、その分難点も多い、というのが実感でした。
まぁ、自分の予算が少なく、そうそう都合の良いところは、なかなかないということなのですが・・。
一方、別荘地が直に売りに出している物件の方ですが、まず最初に、軽井沢インターを降りてすぐのリゾート会社にコンタクトを取りました。ここに連絡した理由は、ホームページでいくつか雰囲気が良さげで、価格も何とか予算に合いそうな物件があったためです。
そこでコンタクトを取り、半日をかけ実際にいくつか見せてもらいました。
感想としては、まず傾斜地の物件は、遠くの山々まで見晴らせるスカッとした景観があり、他の軽井沢の土地にはない魅力がありました。価格も土地の広さの割にはリーズナブルと感じました。また平地の物件も基本的に広く、すでにある程度の造成ができているため、ここであれば、伸び伸びと暮らせる気がしました。ただどうしても平地タイプの土地は値段が高く、予算的にはオーバーでした。
ここは魅力的な物件が多かったものの、最終的に選ぶことはできませんでした。その最大の理由は、駅まで距離があることです。また全体に土地の雰囲気は良いのですが、実際自分が興味を持った土地は予算がやや見合わないこともありました。通勤が必要なければ、違う判断があったかもしれません。
次にコンタクトを取ったのは、実は購入した土地のリゾート会社となります。
ここもホームページで、価格や広さ、場所など、魅力的な物件を見かけ、見せてほしいと連絡をしました。
このリゾート会社は軽井沢の数カ所に大規模の別荘地をいくつか持つところで、問い合わせした土地以外にも、それぞれの別荘地で候補となりそうな物件を用意してくれていました。
– 軽井沢の物件 土地探し2 –
<土地を衝動買いする>
私は仕事柄、研究活動という論理的な立ち振る舞いが必要なのですが、もともと美術大学の出身で、どうも基本的に感覚優先の人間です。これからお話しする土地の決定でも、感覚的、衝動的に決めた感じは否めません(笑)。
ということで、土地探しをされている方には、あまり参考にならないかもしれませんが、決定までのいきさつをお話しします。
このリゾート会社の担当者は、まずホームページで私が興味を持った土地から案内をしてくれました。
その土地は斜面に沿った別荘地の割と上の方にあったのですが、大きさが300坪程度ありながら、値段はかなりお手頃でした。
少し余談になるのですが、現在軽井沢町の条例で、土地の売買には1000㎡(約300坪)以上の大きさが必要です。また建築条件も建蔽率20%、容積率20%と大変厳しいものになっています。これは小さな土地に分割できたり、家の建築条件を緩めたりすると、結果として緑地が減り、自然保護に繋がらないという理由によるものだそうです。他にも屋根の角度や家の色彩など、建築そのものに関して多くの規制があり、“軽井沢ルール”と呼ばれています。厳しい内容も多いですが、こういった取り決めは、保養地には必要なことではないかと思います。
一方でこの厳しい建築条件にあてはまらない土地も存在します。
この条例は1972年(昭和47年)に制定されましたが、それ以前に造成、販売された土地は、条例前の条件が適用されているためです。ただしこのような土地でも、新たに建築をする場合は、道路や隣地境界から建築物後退の条件は守らなければなりません。
ということで実際軽井沢には、場所により面積300坪以下、建蔽率、容積率とも20%を超えた物件が存在します。
こういった小規模な土地は、私のように予算が限られた人間には、価格設定が低く買いやすくなるのですが、一方狭い土地でも建物後退の条件は守る必要があるため、結果として先に述べた“うなぎの寝床”のような家しか建たなくなるということが発生します。
こういうことが起きるので、軽井沢で小さな土地を買う時には注意が必要です。
話が横道にそれましたが、土地探しをしながら、このような軽井沢特有の知識はだんだん身についてきていました。
話をもとに戻します。
そのリゾート会社の人が見せてくれた300坪以上の安い土地ですが、安い理由がやはりありました。それは敷地の大部分がレッドゾーンに入っているためでした。
レッドゾーンでも建築はできるとのことですが、特別に補強対策などをしなければならず、コストがかかります。
またここは土地が広いので、場所によりそれほど急な傾斜でない所もありましたが、家の基礎や、家の近くに駐車場を作ろうとすると、それなりに造成費がかかりそうでした。
リゾート会社の人は正直な方で、真っ先にこのレッドゾーンの話をされ、「この土地はなんか写真写りがいいんですよ」とおしゃっていて、好感を持ちました。
次に見せてくれた土地は、同じ別荘地の物件で、ホームページではあまり気に留めてなかった所でした。ここは先ほどの土地よりもやや麓(ふもと)に近く、場所はよかったのですが、傾斜がきつく、基礎を工夫すれば、家を何とか建てられるといった感じのところでした。景色は開けていて、そこは良かったのですが・・。
このあたりで気づいたのは、どうやらこの別荘地の特徴は、ほぼすべてが傾斜地であり、価格的には安いものの、建築をする場合、基礎工事にコストがかかりそうな物件が多いということでした。
そう考えて周りの別荘を見てみると、空中にせり出すように鉄骨やコンクリートの基礎を用いた建築が確かに多いと感じました。
その後、次の土地に移動しました。
次に見せてくれた土地も、やはりホームページで見覚えはあったものの、まったく気にしていなかった物件でした。
そして実はその土地で、今私はこの文章を書いています。
その土地は、まずロケーションが良いと思いました。先の土地よりもさらに麓に近く、少し覚悟はいりますが、散歩がてら買い物や、コーヒーを飲みに行けそうな場所でした。
さらに特徴的な形をしていました。
まずその土地は180坪そこそこと、軽井沢にしてはさほど大きな土地ではありません。そして上から見ると三角の形をしていて、西側と東側に広い道路がありました。つまりその2本の道路で作られた三角形の角地のような場所でした。
さらにその道路は、三角形の頂点側から見ると東側が上に上がっていき、西側は下にカーブしながら下がっていくといった立体的に面白い地形をしていました。
そのため、その土地を横から見ると、東側から西側に傾斜地となっています。ただしこれまで激しい傾斜地ばかり見てきたせいか、傾斜はだいぶ緩やかと感じ、これなら家が建つことが容易に想像できました。
この立体的な土地のキャラクターは、これまで見たことがない個性的なもので、例えばジブリの「耳をすませば」に聖蹟桜ヶ丘の傾斜地や階段が出てきますが、大袈裟に言えば、あのドラマチックな雰囲気をその土地に感じました。
ご参考に以前聖地巡礼した時の写真を載せておきます(笑)。
人によっては、道に挟まれた土地を敬遠する向きもありますが、考え方を変えれば、道路を挟んで、5mの建築物後退距離を取りながら、周りの家が建つわけですから、家と家との距離は自然に確保できると思いました。また別荘地であるため、クルマや人の往来は実際それほど多くはないことも容易に想像できました。
それにしても特徴のある土地です。いやクセが強い土地とも言えます。とにかく面白い。
担当の人は何か説明をしてくれていましたが、いろいろな考えが錯綜し、まったく頭に入りません。
「では次の別荘地に移動しましょうか?」と聞かれましたが、私は、、、
「もう大丈夫です。ここにします」と気が付いたら答えていました。
担当の人は驚いた様子で「は?」「他にも何箇所か準備してありますが・・」と言われましたが、「もう他は見なくて大丈夫です」と答えました。
私の決心が固いことを悟った担当者の方は、「では1日考えて、明日正式にお答えください」と言われ、自分のクルマを置いた別荘地の管理事務所に一旦戻りました。
担当の方は、管理事務所でその土地の災害マップを見せてくれました。幸いなことにレッドゾーンではなかったですし、イエローゾーンにすら入っていませんでした。
これで私の心は完全に決まりました。
<その土地について考えたこと>
ちょうどお昼くらいでしたが、担当者と別れ、管理事務所を一旦離れた後、昼食を買ってすぐさまその土地に引っ返し、クルマの中で土地を眺めながら、忘れもしないシャケおにぎりとハムカツサンドを食べました。
まだ冬本番の時期で、ちらほら雪が舞い始めたことを覚えています。
少し余談となりますが、私がこの土地に出会ったのは、このように冬でした。冬は木々の葉っぱが落ちるので、土地の素性が見やすくなります。また道路の雪の溶け具合などを確認できるので、軽井沢の土地探しにはおすすめの時期です。
さて昼食を食べた後、その土地をあらためて見ながら、東側、西側、両方の道路境界から5m、隣地境界から3m後退したところで、この高低差のある三角形の土地をどう生かした建築ができるか。その日の午後、私はその土地で暗くなるまでずっと考えていました。
普通このようなことは、建築家の先生にまかせるべきものですが、私はデザイナーの職業病というか、自分で考えないとどうも気がすみません。
三角の土地なので、軽井沢の厳しい後退規制を考えると、家は三角形の底辺側に建てざるをえません。
ただその土地をタテヨコ歩き回って、あることに気がつきました。
当初樹木が多く気が付かなかったのですが、三角形の頂点から南方向に敷地を2分割するような中心方向は、傾斜が一番緩いと感じました。ここをうまく利用すれば、クルマや人が出入りする道が作れる気がしました。
ただ私は造成の専門家ではないので、予算も含め、本当に可能なのかはまったく分かりません。
さらに土地を歩き回って感じたのは、大きな樹木が多いということです。後で分かったのですが、その木々の高さは25m以上ありました。
軽井沢は場所により生えている木の種類や大きさが異なります。この地域はこれまで見てきた中でも針葉樹、広葉樹とも大樹が多く、土地を買うとこの樹木たちも自分のものになるというのは、うれしくもあり、不思議な感覚でありました。
特に西の低い道路側にある大きな広葉樹2本は、冬で落葉しているものの、自然で雄大な樹形がとても魅力的に思えました。山取りの盆栽や庭木が人気ですが、超巨大な山取り盆栽?を見て暮らすのもいいなと思いました。
当初は見晴らしの良い景観にこだわっていましたが、この土地に出会い、大きな木々に囲まれた景色や暮らしは、四季の移り変わりを身近に感じることができ、それはそれで軽井沢らしいのではないかと思いました。冬で落葉しているので、枝の間から多少の見晴しはあります。
また夏に葉が生い茂ったにしても、今度は日差しや風から大きな木々は家を守ってくれそうな気もしました。
その日は帰宅の予定でしたが、翌日も土地が見たくなり、急遽1泊することにしました。
そのため管理事務所には電話ではなく、直接朝一番に出向き、正式に購入の意志を伝え、わずかですが手付け金を入れました。
あまりに良い土地と感じたため、とにかく早く押さえたいという気持ちが先立っていました。
担当の方は、「土地を衝動買いする人を初めて見ました(笑)。何か惹かれ合うものがあったのですね」と言われました。その後、オーナーと連絡を取るので、少し時間がほしいという趣旨のことを言われました。
私は「よろしくお願いします」と伝え、管理事務所を後にしました。
<翌日その土地で気づいたこと>
その後、再びその土地におもむいたのですが、昨日は気持ちが舞い上がり、あまり気に留めていなかったところが、翌日は気になりはじめました。
まず倒木している大樹が多いということ。
だいぶ前に倒れ、地面の上でかなり朽ちているものもあれば、巨大な倒木が、横の同じような巨木に斜めにもたれかかっている迫力ある構図のものもありました。
管理事務所に戻り、このダイナミックな倒木について、どうすれば良いか質問をしたのですが、とりあえず一緒に現場に見に行くことになりました。
管理事務所の人が言うには、「あー、これは家を建築する際に伐採をすることになると思うので、その時に一緒に片付けてもらうのが良いと思いますよ」とのことでした。また倒れているほとんどの木は「カラマツ」だと教えてくれました。
「カラマツ?」
<美しいカラマツのダークサイド>
「カラマツ」は黄色に紅葉し、落葉する珍しい針葉樹で、軽井沢を代表する樹木であります。北原白秋の軽井沢を詠った「落葉松」という詩でも有名です。
この木は成長が早いため、明治時代に雨宮敬次郎により、建築資材として大規模の植林が始まったとされており、その後も野澤源次郎などによる植林が続き、今に続く軽井沢の景観を作り出したと言われています。ただし輸入材に押されて、実際はあまり活用されることもなく、現在に至っているとも聞きました。
この軽井沢を代表する木が実はくせもので、住宅にとっては要注意とのことです。落葉した葉は針のように細く、住宅の屋根などの隙間に入り込み、それが貯まり湿気を帯びるとそこから腐食が始まり、家が痛む。またそもそも成長が早いことに着目され資材として植林された訳ですが、その分根の張りが弱い。よって今の時代、成長し巨大になった「カラマツ」は倒木の危険がある樹木であることを管理事務所の人に教えてもらいました。
<住宅の基礎をどうするか?>
他に気になった所は、この傾斜地に建築をする場合、どのような基礎の方式が良いかということです。
この頃には素人なりに、ある程度建築の知識はついてきていました。
他の傾斜地のように鉄骨で傾斜地にあまり手を加えずに基礎を組む方法もあるし、この角度であれば傾斜地を切土し、そこにコンクリートの高基礎を作ることもできそうでした。
それぞれメリットとデメリットがあります。
まず鉄骨の基礎は地形を大幅に変えることがなく、コスト的には有利ですが、下の道路側から見ると、家が宙に浮いたようになり、特に2階建にした場合、だいぶ不安定な印象となってしまう。かといって、その鉄骨基礎部を何かに使えるわけでもない。
一方コンクリートの高基礎は、切土した土砂を低い方に盛土することにより、小さいながら平らな庭ができるかもしれない。また見た目の安定感もありそうだが、コストがとんでもないかもしれない。といったことをあれこれ考えました。
ただここから先は、素人が思いあぐねいていてもどうにもならないので、建築業者さんに基礎や駐車場の提案も同時にしてもらう依頼の仕方をしようということを決め、ひとまず考えるのをやめました。
まぁ、自分で結論が出せるようなことではないのですが、おもしろい地形だったので、土地を見ながらそんなことを妄想するのが楽しい・・、ということだったと思います。
<土地の契約をする>
土地は購入したいと希望を出し、わずかな手付け金を入れましたが、2ヶ月以上何の音沙汰もありませんでした。さすがに本当に手に入るのか不安になり、管理会社に確認の電話を入れました。それによるとオーナーが忙しく予定がまだ組めてないが、土地は間違いなく譲渡するとのことでした。
ひとまず安心したわけですが、その後すぐに正式契約となりました。場所はリゾート会社の東京事務所で、土地の名義変更を依頼する司法書士の方も同席しました。
オーナーはこの別荘地にいくつか土地を所有する方で、「特に今後使用する予定がないので売りに出したが、もともと結構な値段で購入した土地だった」との話をされました。
契約後、「いい家を建ててください」と言われ、握手を交わしてお開きとなりました。
その後、しばらくして登記簿が届き、土地が自分のものになったことを実感し、にんまりとしました。一方で建築検討もしないまま、なんと先に衝動で土地だけを買ってしまった! しかもクセが強い! という一抹の不安が頭をよぎりました。たぶん表情は竹中直人さんの笑いながら怒る人のようだったかもしれません。
いずれにしても早く建築を検討しなければと思いました。
3. 軽井沢移住 vol.3に続く。